FRSが担当したPM業務は、プロジェクト全体の工程管理やコスト調整、品質面を統括的にマネージメントするという立場です。ここからは、PMの立場としてどのようにプロジェクトを推し進めていったのかをご紹介します。
工事準備期間からの立ち回りがポイント
リフレッシュルーム
リニューアルは、移転と比べ工数が多く、かつ完工予定日が決まっていたので、スケジュールはタイトでした。そのため、一般的に工事準備期間中に関係各社が集まり話し合いの場を定期的にもちますが、今回は各分科会を個別に設定し効率化。FRSのPM担当者が中核となり、各分科会の状況や発生している問題点を整理し、すり合わせていくハブのような役割を担いながら準備を進めました。
FRSでは、普段から設計・施工を担っているので、こういったタイトな状況下での調整や進行は得意技です。
また、工事に入る前にオフィス内の不要なものをすべて廃棄に回しておくことが必要です。これが場合によっては何トンにも及ぶ大掛かりな作業の1つ。
PMの立場として担当者は
「お客様をよく観察して状況を知ることが大切」
といいます。
ペーパーレスの流れがある中でどんな書類を廃棄するのか、また備蓄品はどうするのか、手つかずになっている書庫はどうするのか、等お客様自身で把握しきることは容易ではありません。実際に働いている方々をよく観察することから始め、時には中へ入っていき、お客様とコンセンサスを取りながら収納プランを作成していきます。いざ工事に入る直前に、行き場をなくした物品が出てくるなどの混乱は避けなければいけません。
スケジュール調整やお客様との協力関係の構築が、工事準備期間の立ち回りのポイントです。
徹底的にお客様を想像して考え抜く
ウエスタンドアの集中ブース
PM業務の大きな柱の一つが、運用オペレーションを策定すること。新しいオフィスを快適に最大限活用してもらうために運用オペレーションは必要不可欠です。
本プロジェクトでは、オフィスが完成し業務開始となる前に、運用説明会を開催しました。オフィスオープンから混乱なく個々が働き始めるためには、こうした説明会も非常に重要です。
説明会は、各部門のマネージメント層に向けて行いました。新しい機能やツールの使い方を想像しながらご参加いただくことができたので、後日、直接部門長から説明を受けた社員の方々は混乱なくオープンの日を迎えることができたと聞いています。
PM担当者は、感染症対策のための消毒スポットの最適な位置、ごみ捨てルールの仕組みづくりなどの細部にもこだわりました。また、皆が気持ちよく使えるようにリニューアル対象ではなかった給湯室の美化の提案も。
オフィスを最大限活用いただくことを考えると、スケジュールやコスト面の調整だけでなく、こうした細かい運用ルールをお客様のことを想像しながら考え抜くというところにたどり着きます。
このような思考のもと、お客様の声を形にするためさまざまなツールを導入しました。その一部をご紹介します。
室内換気量も考慮した密閉のWEBブース
吸音効果がありこもりやすい集中ブース
ソロワークのしやすい個室。特にWEBブースは安心して利用できる密閉空間にこだわりました。
すぐにWEB会議が始められる会議室
モニターを常設した個室は、WEB会議をすぐに実施できるようにしています。
Zoom用のPC、カメラ、マイクが常設され、生産性の上がる遠隔コミュニケーションを意識し機能面やツールの検討を進めました。
顔認証セキュリティと連動したオートドア
顔認証で自動開閉するゲートシステム。情報収集と比較検討に時間をかけたオートドアは、セキュリティを担保しつつ、非接触で入退室することができます。
FRS担当者の声
打ち合わせを重ね導入した機能は、どうすれば最大限活用していただけるかを考えました。例えば、今回導入した個室のWebブースには衛生意識の高まりを考慮し、すべて壁掛けの空気清浄機を設置することにしました。他にもお客様にとって初めての機能やツールがいくつかありますが、まずは使ってみていただかないと、その良し悪しは分かりません。まず「使っていただくために必要な要素は何か」を徹底して考え抜きました。
図面だけ見るのではなく、まずはお客様を観察するということが大切だと、日頃からPMメンバーとはよく話をしています。働く皆さまのご協力なくしてリニューアルは成功しません。ですからフォーバルの方々には本当に感謝しています。
リニューアルの対象フロアは一定期間クローズするものの、業務はとめられませんのでお客様の実務に踏み込んだ確認作業が多くありました。今回のようなリニューアルは移転と比べて工数が多く、綿密なスケジュール調整が必要です。ただ、新しい働き方を実現し生産性を向上させるための経営判断の1つとして、リニューアルの選択肢はおおいにあると考えています。
FRSでは設計も施工もPMも知っているからこその立ち回りを強みとして、お客様に最適なオフィス空間をご提案できるように、リニューアルの知見をさらに積み上げてきたいです。