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コラム : 第85回

東京駅 八重洲・日本橋エリア再開発特集

南北に走るJR各線によって東西に分断された東京駅。

西側エリアは、正面に皇居を望む丸ビル、新丸ビルの風景、整然と区画された石畳の幅広な歩道や、ナショナルブランドの高級ブティックなど、洗練された街が印象的です。

一方、東側は昭和の雰囲気を残す街並みが想起されがちですが、実際は、近年の大型オフィスビルの開発により、近代的な風景が広がりつつあります。さらに、今後の10年間で多くの大規模開発が予定されています。

今回のコラムで取り上げるのは、八重洲エリアから日本橋エリアにかけての再開発。

東京都、そして日本有数のデベロッパーやスーパーゼネコンなどが、八重洲や日本橋をさらに魅力ある街に進化させようと、互いの強みを活かしながら連携、総力を挙げて再開発を進めていく姿は、単独で行なう再開発とはまた違ったダイナミズムがあります。

八重洲・日本橋界隈 再開発8選

今回取り上げる再開発は、以下の8つの再開発計画。

どれも東京都がリーダーシップを取りながら、国内有数のプレイヤーが手掛ける大規模な計画です。計画名が住所表記になっているものばかりで分かりにくいですが、どうかご容赦ください(竣工予定時期順に並んでいます)。

No. 竣工予定 物件名(開発計画名称)
(1) 2022年 東京ミッドタウン八重洲
(2) 2025年 八重洲一丁目東B地区市街地再開発事業
(3) 2026年 日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業 C地区
(4) 2027年 トーチタワー (TOKYO TORCH B棟)
(5) 2028年 八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業
(6) 2029年 八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業 南街区
(7) 2030年 日本橋一丁目東地区市街地再開発事業 A街区
(8) 2032年 日本橋一丁目1・2番街区再開発事業 A街区

計画される各エリアの所在地をGoogleMapに落とし込んだものが、以下の地図です。8つの再開発計画が東京駅の西側に集中していることがお分かりいただけると思います。

各物件をご紹介する前に、八重洲エリアの再開発で押さえておきたい重要な整備計画が、「バスターミナル東京八重洲」です。大規模なバスターミナルの整備で思い出されるのは、2016年4月に新宿駅前でオープンした「バスタ新宿」。オープン当初の効果を、

  • 駅の真上にあるため乗り換え時間の短縮(最大14分⇒1分)
  • タクシー乗り場も集約し、国道20号の渋滞緩和(四谷方面の渋滞長が140m⇒0m)
  • 利用者から「行先が分かり易くなった」との声

国土交通省道路局から発表、大きな効果が得られたとされています。

バスターミナル東京八重洲

「バスターミナル東京八重洲」は、八重洲エリア3地区の再開発事業が連携し、東京駅周辺の歩道上に分散している高速バス停留所を集約し誕生する大型バスターミナル。独立行政法人都市再生機構と京王電鉄バス株式会社により整備が進められています。

現在、東京駅周辺には、各方面に向かう高速乗合バス、空港連絡バス等の発着する停留所が駅前交通広場内だけでは充足できず、周辺の道路上に散在しています。そのため、鉄道等との乗り換えの便が悪く、道路上での乗降により円滑な車両交通および歩行者通行が妨げられていること等、課題を抱えています。バスターミナル東京八重洲の誕生により、これらの課題の緩和・解決が期待されています。

2028年完成すると国内最大規模のバスターミナルとなり、計20の停留所になります。

※バスターミナル東京八重洲に関するすべての画像は、独立行政法人都市再生機構と京王電鉄バス株式会社の報道発表資料より引用しています。

さて、いよいよ各開発の詳細に迫っていきたいと思います。

1.東京ミッドタウン八重洲

<計画概要>

  • 所在地   :
    東京都中央区八重洲二丁目
  • 基準階面積 :
    約1,240坪
  • 階 数   :
    (A-1地区)地上45階/地下4階/ペントハウス2階
    (A-2地区)地上 7階/地下2階/ペントハウス1階
  • 竣 工   :
    2022年8月
  • 事業者   :
    三井不動産

<FRSリーシングコンサルタントより>

「いよいよ8月に竣工が予定されている、六本木、日比谷に続く東京ミッドタウンブランドの第三弾プロジェクト『東京ミッドタウン八重洲』。ミクストユース型街づくりプロジェクトとして、ホテル、オフィス、ショッピングフロアはもとより、なんと小学校も。この場所で教育を受けた小学生は、どんな風に羽ばたいていくのでしょう。

オフィスフロアのほぼ全てが約1,200坪超という大型区画。ココで注目すべきはロボット活用。デリバリーロボットをはじめ、清掃ロボット、案内ロボット、運搬ロボットなどが活躍する予定とか。ロボットは自立走行で館内移動、単独でエレベーターも使用するそうです。

39Fから上には『BVLGARI HOTEL TOKYO』。入居テナント企業は、海外VIPを招いたときにぜひ予約しておきたいところですね。商業エリアには、お洒落で食にうるさいビジネスパーソンの胃袋を満足させてくれそうな飲食店が全国から集う予定。休日にも賑わいが生まれる予感がします」

2.八重洲一丁目東地区市街地再開発事業 B地区

<計画概要>

  • 所在地   :
    中央区八重洲一丁目6番、7番、8番及び9番の一部
  • 基準階面積 :
    未 定
  • 階 数   :
    地上51階/地下4階
  • 竣 工   :
    2025年予定
  • 事業者   :
    東京建物

<FRSリーシングコンサルタントより>

「東京ミッドタウン八重洲と足並みを揃え、『バスターミナル東京八重洲』の整備(第2期)や、東京駅と周辺市街地を結ぶ歩行者ネットワークの整備を含んだ大規模プロジェクトです。国際会議・学会を開催できるカンファレンス施設、コンサートホールなどが整備されるほか、外国語対応の医療施設等も整備、東京の国際競争力の向上を図ると発表されています。世界に対して門戸を開き、積極的に呼び込もうとする強い意志が感じられますね!」

3.日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業 C地区

<計画概要>

  • 所在地   :
    東京都中央区日本橋一丁目30~32番(地番)
  • 基準階面積 :
    低層部(10階~20階)約1,900坪
    高層階(22階~38階)約1,300坪
  • 階 数   :
    地上52階/地下5階/塔屋3階
  • 竣 工   :
    2026年予定
  • 事業者   :
    三井不動産、野村不動産

<FRSリーシングコンサルタントより>

「A街区~C街区の3つで構成され、高さ約284mのメインタワーを備えるC街区は、オフィス・ホテル・居住施設・商業・MICE・ビジネス支援施設の6つの用途で構成された大規模ミクストユース施設です。

オフィスは、10F~20Fが基準階面積約1900坪、22F~38Fは基準階面積約1300坪。スタートアップの支援策として、ラウンジや交流サロンを設けるなど、活性化を促す施策も構想に含まれています。39F~47Fには、ヒルトンが運営する最上級ラグジュアリーブランド『ウォルドーフ・アストリア東京日本橋』が2026年開業予定。48F~51Fにはコンシェルジュサービスも備えた約100戸の居住施設が予定されています。居住施設にお住まいのかたは、ビルの外に出ないまま生活し続けられそうなほど、多機能なビルの誕生です!」

4.トーチタワー(TOKYO TORCH B棟)

<計画概要>

  • 所在地   :
    東京都千代田区大手町2丁目、中央区八重洲1丁目
  • 基準階面積 :
    約1,900坪
  • 階 数   :
    地上63階/地下4階
  • 竣 工   :
    2027年予定
  • 事業者   :
    三菱地所

<FRSリーシングコンサルタントより>

「『TORCH』の意味は松明(たいまつ)。2030年代にかけて進化しようとうする国際都市東京を照らす、新たな光となるか注目が集まります。高さはなんと、東京タワー(333m)よりも高い390mになる見込み。本稿リリース時点(2022年7月)で国内で最も高いビルは『あべのハルカス』の300m。群を抜いて高いビルが誕生するわけです。

オフィスは中層階。高層階62階と屋上階には都内最高層クラスの展望施設が予定され、低層階には大規模ホールと商業ゾーンを備えます。既に竣工済みの『常盤橋タワー』が街の雰囲気を変えつつありますが、一層街に賑わいをもたらしそうですね」

5.八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業

<計画概要>

  • 所在地   :
    東京都中央区八重洲二丁目4番、5番、6番、7番
  • 基準階面積 :
    未 定
  • 階 数   :
    地上43階/地下3階/塔屋3階
  • 竣 工   :
    2028年予定
  • 事業者   :
    住友不動産、ヒューリック、三井不動産、他

<FRSリーシングコンサルタントより>

「各エリアと一体となって整備される『バスターミナル東京八重洲』(第3期)と連動した再開発。上層階には、外国人の多様な滞在ニーズに応える上質な『サービスアパートメント』が予定され、下層階には外国人子女に高水準の教育を提供する『インターナショナルスクール』が。国際都市としての東京の競争力強化が期待されています。

オフィスフロアは、『最先端の機能を有し、アフターコロナを見据えた新たなワークプレイスを提供するオフィス』を謳っています。どんなサプライズがあるのでしょうか。商業エリアには、世界に向けて日本の文化・情報を発信したり、エンターテイメント用途に活用できる劇場も予定されています。

環境負荷低減・災害時支援機能強化のため、隣接する東京ミッドタウン八重洲などとのエネルギー連携等を予定しているそう。こういう柔軟な連携も新しいですね」

6.八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業 南街区

<計画概要>

  • 所在地   :
    東京都中央区八重洲一丁目1 番他
  • 基準階面積 :
    未 定
  • 階 数   :
    地上44階/地下3階
  • 竣 工   :
    2029年予定
  • 事業者   :
    東京建物

<FRSリーシングコンサルタントより>

「日本橋川沿いの水辺空間の入口となる広場空間、北街区の低層店舗を中心とした施設建築物の整備によって、日本橋川周辺の賑わいの向上を狙った再開発。それと同時に、地下~空中階までの歩道を整備することで、歩行者ネットワークの形成を目指しています。防災対応力強化と環境負荷低減を謳っていますが、具体的にどのような仕組みが導入されるのかも楽しみですね。計画には、『金融拠点の形成を視野に、国際水準の業務機能を導入』と書かれていますが、『国際水準の業務機能』とはいったい何なのか…?注目したいと思います!」

7.日本橋一丁目東地区市街地再開発事業 A街区

<計画概要>

  • 所在地   :
    東京都中央区日本橋一丁目、日本橋本町一丁目及び日本橋小網町各地内
  • 基準階面積 :
    未 定
  • 階 数   :
    地上40階/地下4階
  • 竣 工   :
    2030年予定
  • 事業者   :
    東急不動産、三井不動産、日鉄興和不動産

<FRSリーシングコンサルタントより>

「2024年に着工予定の再開発。オフィスフロアの他、カンファレンス、商業施設、駐車場などから成る予定で、2022年度をMICE方針検討期間としています。首都高速の地下化計画および周辺5地区の再開発と連携し、日本橋川の水辺空間の魅力を創出する開発が盛り込まれる予定です。

デッキからは日本橋兜町など各エリアへ接続でき、地下から浅草線日本橋駅に直結できるなど、高い回遊性を標ぼうしているとか。公共交通機関を利用して訪れる方々への利便性抜群ですね」

8.日本橋一丁目1・2番街区再開発事業 A街区

<計画概要>

  • 所在地   :
    東京都日本橋一丁目地内
  • 基準階面積 :
    未 定
  • 階 数   :
    地上27階/地下3階
  • 竣 工   :
    2032年予定
  • 事業者   :
    三井不動産

<FRSリーシングコンサルタントより>

「こちらも首都高地下化計画と連携し計画されています。オフィスフロアのほか、店舗、文化体験施設、駐車場などが整備される予定で、文化体験施設は、VR/ARなどの最新テクノロジーを駆使したバーチャル体験ができるものが予定されているとか。10年後の最新テクノロジー…。いったいどんなものが出来るのか想像も及びません。

日本橋の脈々と受け継がれた伝統や先進性を活かした開発が掲げられています。日本橋川に面した『花の広場』、その反対側に整備される予定の『西河岸橋橋詰』は再整備され、新たな憩いの場として人が集う名所になるかもしれませんね」

まとめ

今回ご紹介した各エリアの再開発では、周辺各地域への回遊性の向上が考えられています。心理的な距離が遠かった八重洲界隈と日本橋界隈に人が往来するようになり、相乗的に街が活気付きそうですね。ビジネスパーソンだけでなく、国内外からの観光客や、デートスポットとしても人気のエリアになるかもしれません。

また、「日本橋川に青空を」と掲げられた首都高日本橋区間地下化事業は、2040年の完成を目指し、2020年に着工されています。1964年の東京五輪開催に際して整備された首都高速道路。日本橋上空を横断する高架が撤去され、空が見上げられる風景は、心躍るものがありますね。

ご紹介した8つの再開発ビルに日本経済を牽引するような企業が入居すれば、近隣の小・中規模オフィスに関連企業が集積、オフィスニーズがより活性化する可能性も。そして、再開発による新規供給は、空室率に大きな影響を及ぼします。当社でも、その影響範囲を掴みながら正しく分析、提案に繋げていけるように情報収集していきたいと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

(著:FRS広報チーム)

参考資料

・9月17日(土)開業予定の(仮称)八重洲バスターミナルの名称を「バスターミナル東京八重洲」に決定(UR都市機構・京王電鉄バス)

・東京ミッドタウン公式サイト

・「東京駅前八重洲一丁目東B地区市街地再開発事業」権利変換計画認可について(東京建物)

・都市再生特別地区(日本橋一丁目中地区)都市計画(素案)の概要(三井不動産・野村不動産)

・トーチタワー公式サイト

・「八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業」市街地再開発組合設立のお知らせ(三井不動産)

・「八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業」市街地再開発組合設立認可のお知らせ(東京建物)

・都市再生特別地区(日本橋一丁目東地区)都市計画(素案)の概要(東急不動産、三井不動産、日鉄興和不動産)

・都市再生特別地区(日本橋一丁目1・2 番地区)都市計画(素案)の概要(三井不動産)