■CIESFの行なう5つの支援事業
①教師派遣事業
<画像提供:CIESF>
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「私たちは、教育システムの立て直しには教師の質の向上が最優先と考え、2009年に小学校と中学校の教員養成校に第一号の先生を送って以来、現在までに34名の教育アドバイザーを派遣してきました。
指導の中心は、世界共通の科目である算数、理科です。50歳以上の日本人のベテランの先生がたが、現地の教員候補生の皆さんに『教えかたを教える』ことで、教育水準の向上を目指しています。
現在では、
机の周りを歩いて生徒に目を配りながら授業を進める、という日本では当たり前の光景も根付いていきましたし、実験道具の使い方が分かり、楽しそうに生徒にやってみせている光景も見ることができます。
2018年には、やっと4年生の教育大学ができ、少しずつカンボジアの教育システムが整いつつあることが実感できています」
②教育行政支援
<画像提供:CIESF>
「教師派遣事業を進めていく過程で、教育システムを運営する側である、教育行政が整っていないことに気付かされます。そのため、2012年、カンボジア教育省と共同で、教育省の行政官や教師の再教育の場として『教育政策大学院大学』を設立しました。ここでの学びによって、優秀な教育省の行政官や教師が増え、
将来的にはカンボジアの教育行政を導いていくリーダーの育成につなげていきたい
と考えています。また、『支援している間はうまく運営できているが、支援が終わると何も残らない』という事象を避けるため、設立から3年間は全運営費を負担していましたが、その後の5年間で20%ずつ支援額を削減し、少しずつ現地に事業を預けていく方針を採りました。
現在では、カンボジア教育省が単独で運営することができるようになっており、局長クラスになった卒業生が、主体的に改善提案の声を上げる動きもみられます」
③ビジネスモデルコンテストの開催
<画像提供:CIESF>左がフォーバルグループの大久保秀夫会長
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「私たちは、
『国の発展のためには、現地の企業が成長し、自国に納税していかなければならない』
と考えています。その考えのもと、学校教育を修了した若者に働く場を提供するために、ビジネスモデルコンテストを開催しています。このコンテストを通じて、東南アジアの若者たちから起業家が生まれ、将来の経済発展に欠かせない雇用を創出することを目指しています。
この10年間の取組みの中で、十数名の若い起業家が生まれました。これもひとつの成果だと実感できているので、これからも続けていきたいですね。
このコンテストは、別のコンテストとも連携していて、勝ち進んでいくと世界大会に出場することもできます。近年の彼らの活躍は目覚ましく、準決勝以上に残るような高い成果を見せてくれています。
日本のチームは、残念ながら準々決勝に残れないことも多いのですが…。日本は、内容が良くても英語のプレゼンが上手じゃないみたいですね(笑)
④産業人材育成支援
<画像提供:CIESF>
「この事業では、日本語教育、ビジネスマナー教育、IT人材の育成を行なっています。IT人材育成は、講師の育成、模試試験の実施、模試試験の合格者をカンボジアの国内企業や日系企業に紹介する仕組みを作ること、の3つの段階からなります。情報処理技術者試験は各国で受験することができ、ある段階の試験をパスすると、日本へのビザの緩和案件にもなっています」
⑤シーセフ リーダーズ アカデミー
<画像提供:CIESF>
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「シーセフリーダーズアカデミー(CIESF Leaders Academy)は、2016年に開校した『地球益を目指す、志をもったリーダーを育てる』ことを目的とした幼小中一貫校です。授業は日本語で行なっていて、一学年につき20名前後を定員として運営しています。
ここでの教育を通して、地球という次元でのものの考え方や、利他の心をもって社会に出ていって欲しいですね。また、国の発展をごく一部の上流階級のみによって委ねるのではなく、国民が広く教育を受け、その中から新しいサービスやムーヴメントが生まれることを願っています。
当アカデミーには毎年一学年ずつ増えています。運営ノウハウを着実に積んでいき、将来的には、この学校の運営で培ったノウハウを、
ASEANはじめ世界へ発信していきたいとも思っています。私たちが知っていることの全てを提供し、各国には自前で、自分たちの国のリーダーを育ててもらいたい
のです。また、当アカデミーは中学校までで、
高校から先は、日本に留学してきてほしいと思います。そして、大学を卒業したあとは日本で就職して日本企業で学んでもらい、帰国したあと、日本の友達として国の発展に寄与して欲しい。
30年以上先の話にはなりますが、カンボジアだけでなく、そうして地球の未来を担う人になって欲しいと願っています」