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コラム : 第51回

「魚を与えるのではなく魚の釣り方を教える」教育支援

<画像提供:CIESF>

突然ですが、皆さんは「ボランティア」の経験はありますか?

用語の意味を調べてみると、

「自らの意志に基づいて人や社会に貢献すること」

とありました。ちなみに、文部科学省の定める基本理念には、公共性、自発性、先駆性と書かれています。

ボランティアというと、何キロもの距離に渡って膨大な海岸のゴミを拾って歩くとか、正式な申込みや手続きが必要なんじゃないか、など想像して少し気後れしてしまいますが、実は、自分の意思で誰かの役に立とうとする、というとても身近な行為なのかもしれませんね。

さて、今回のコラムでは、寄付によって子供たちの学びを支える活動に貢献できる「CIESF(シーセフ)」という団体について、皆さんにご紹介していきたいと思います。

CIESFはカンボジアをはじめとしたASEAN地域で教育支援を行なっている団体です。フォーバルグループの大久保秀夫会長が個人で創設以来、グループ全体でも活動を応援しています。もちろん、FRSでもサポート会員として、その教育支援活動を全力で応援しています。

CIESFの行なっている教育支援は、世界の貧困や経済格差を失くそうとする試みとして、非常に有意義な活動であると考えています。今回、ひとりでも多くの方々にその存在や取組み、運営者の思いを知っていただくために、事務局長の戸田様にお話をお聴きしてきました。

ぜひ最後までお付き合いください。

CIESF(シーセフ)とは

<画像提供:CIESF>公益財団法人CIESF 理事・事務局長 戸田 陽子様

「CIESFの主な活動は、カンボジアをはじめとした開発途上国で教育者を教育することです。

2008年の設立当時は、『現地に学校を寄付する』ことが流行っていたこともあり、たくさんの学校が建てられていましたが、そこで行われている教育は、

教科書を丸暗記させている光景や、先生もコンパスや分度器を使えなかったり、理科の実験ができなかったり…もっとひどい場合には、先生がいなかったり、先生のほとんどが副業であるため授業を休んでしまうことが多かったり

と、もう散々でした。カンボジアでは、1975年から4年間続いたポル・ポト独裁政権時代、

知識層の8割が殺され、教科書が焼かれ、校舎も破壊される

という、世界でも類を見ないほどの凄惨な出来事がありました。政権が変わり、教育制度は復活しましたが、教える人などいるわけがありません。仕方がなく字が読めるだけの人が教壇に立ったものの、先生としての教育など受けていません。教科書も焼かれて消滅してしまったので、外国の教科書を翻訳しただけのミスの多いものを使用。寄付された実験道具があっても、誰も使い方が分からないなど、問題が山積みでした。

肝心な教える側の人材がまったく整っていないようでは教育格差が埋められないと感じ、まず教師派遣事業を開始しました。教育支援を始めると、教育行政の問題を痛感し始め、行政指導を行なうことに。そして、学校で学んだ学生たちに働く場の提供を、と考えビジネスモデルコンテストを開催する、など次々と展開していきました。現在では、主に5つの事業を行なっています。教育は全ての始まりであり、全ての問題を解決すると信じています」

CIESFの行なう5つの支援事業

①教師派遣事業

<画像提供:CIESF>

<画像提供:CIESF>

「私たちは、教育システムの立て直しには教師の質の向上が最優先と考え、2009年に小学校と中学校の教員養成校に第一号の先生を送って以来、現在までに34名の教育アドバイザーを派遣してきました。

指導の中心は、世界共通の科目である算数、理科です。50歳以上の日本人のベテランの先生がたが、現地の教員候補生の皆さんに『教えかたを教える』ことで、教育水準の向上を目指しています。

現在では、

机の周りを歩いて生徒に目を配りながら授業を進める、という日本では当たり前の光景も根付いていきましたし、実験道具の使い方が分かり、楽しそうに生徒にやってみせている光景も見ることができます。

2018年には、やっと4年生の教育大学ができ、少しずつカンボジアの教育システムが整いつつあることが実感できています」

②教育行政支援

<画像提供:CIESF>

「教師派遣事業を進めていく過程で、教育システムを運営する側である、教育行政が整っていないことに気付かされます。そのため、2012年、カンボジア教育省と共同で、教育省の行政官や教師の再教育の場として『教育政策大学院大学』を設立しました。ここでの学びによって、優秀な教育省の行政官や教師が増え、

将来的にはカンボジアの教育行政を導いていくリーダーの育成につなげていきたい

と考えています。また、『支援している間はうまく運営できているが、支援が終わると何も残らない』という事象を避けるため、設立から3年間は全運営費を負担していましたが、その後の5年間で20%ずつ支援額を削減し、少しずつ現地に事業を預けていく方針を採りました。

現在では、カンボジア教育省が単独で運営することができるようになっており、局長クラスになった卒業生が、主体的に改善提案の声を上げる動きもみられます」

③ビジネスモデルコンテストの開催

<画像提供:CIESF>左がフォーバルグループの大久保秀夫会長

<画像提供:CIESF>

「私たちは、

『国の発展のためには、現地の企業が成長し、自国に納税していかなければならない』

と考えています。その考えのもと、学校教育を修了した若者に働く場を提供するために、ビジネスモデルコンテストを開催しています。このコンテストを通じて、東南アジアの若者たちから起業家が生まれ、将来の経済発展に欠かせない雇用を創出することを目指しています。

この10年間の取組みの中で、十数名の若い起業家が生まれました。これもひとつの成果だと実感できているので、これからも続けていきたいですね。

このコンテストは、別のコンテストとも連携していて、勝ち進んでいくと世界大会に出場することもできます。近年の彼らの活躍は目覚ましく、準決勝以上に残るような高い成果を見せてくれています。

日本のチームは、残念ながら準々決勝に残れないことも多いのですが…。日本は、内容が良くても英語のプレゼンが上手じゃないみたいですね(笑)

④産業人材育成支援

<画像提供:CIESF>

「この事業では、日本語教育、ビジネスマナー教育、IT人材の育成を行なっています。IT人材育成は、講師の育成、模試試験の実施、模試試験の合格者をカンボジアの国内企業や日系企業に紹介する仕組みを作ること、の3つの段階からなります。情報処理技術者試験は各国で受験することができ、ある段階の試験をパスすると、日本へのビザの緩和案件にもなっています」

⑤シーセフ リーダーズ アカデミー

<画像提供:CIESF>

<画像提供:CIESF>

「シーセフリーダーズアカデミー(CIESF Leaders Academy)は、2016年に開校した『地球益を目指す、志をもったリーダーを育てる』ことを目的とした幼小中一貫校です。授業は日本語で行なっていて、一学年につき20名前後を定員として運営しています。

ここでの教育を通して、地球という次元でのものの考え方や、利他の心をもって社会に出ていって欲しいですね。また、国の発展をごく一部の上流階級のみによって委ねるのではなく、国民が広く教育を受け、その中から新しいサービスやムーヴメントが生まれることを願っています。

当アカデミーには毎年一学年ずつ増えています。運営ノウハウを着実に積んでいき、将来的には、この学校の運営で培ったノウハウを、

ASEANはじめ世界へ発信していきたいとも思っています。私たちが知っていることの全てを提供し、各国には自前で、自分たちの国のリーダーを育ててもらいたい

のです。また、当アカデミーは中学校までで、

高校から先は、日本に留学してきてほしいと思います。そして、大学を卒業したあとは日本で就職して日本企業で学んでもらい、帰国したあと、日本の友達として国の発展に寄与して欲しい。

30年以上先の話にはなりますが、カンボジアだけでなく、そうして地球の未来を担う人になって欲しいと願っています」

まとめ

今回のコラムでは、CIESFの教育支援事業についてご紹介してきました。この素晴らしい地球規模の貢献が、少しでも読者の皆様にお届けできていたら嬉しく思います。

寄付について

この教育支援事業はほぼ無償で行なわれており、運営者からの持ち出しと、寄付で成り立っています。

学校を建てる、教科書を送る、などの方法(=魚を与えること)は、目に見えやすいので寄付も集まり易いのだそう。一方で、

「先生を教育する先生を送る」事業(=魚の釣り方を教えること)は、第三者には分かりにくいため、寄付がなかなか集まりにくい

という課題があるそうです。このコラムを読んでいただいたかたで、寄付についてご検討いただけるかたは、当会のWebサイトに詳細が記載されていますので、ぜひご参照ください。

公益財団法人CIESF 寄付について

直接寄付いただく以外にも、寄付機能付き自販機や、コラボ製品によって売上の一部を寄付など、様々な方法が紹介されています。

また、現在、教材の準備や校舎の修繕費用のためにクラウドファンディングを実施していますので、以下のリンクからご参照ください。

コロナでカンボジアの学校存続の危機「経済的理由で学校に通えない子どもを救いたい!」

以上、今回は発展途国の教育支援を行なう「CIESF(シーセフ)」の取り組みをご紹介させていただきました。
最後まで読んでいただき、有難うございました。
(著:FRS広報チーム)