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コラム : 第23回

知っているようで知らない。ビルの「耐震構造」。


自然災害が多い日本。今でもビルの耐震性を気にされる企業様も多いのではないでしょうか。 旧耐震ビル、新耐震ビルに加え最近では免震構造・制震構造という言葉も当たり前に聞くようになりました。一体何が違うのでしょうか?
今回はビルの「耐震構造」についてご紹介いたします。

■初めに。旧耐震ビルと新耐震ビルは何が違うの?

◆旧耐震ビルとは?

1981年以前までに制定された耐震基準で建築確認が取れている建物。
震度5強程度(中地震)の地震に耐えられるように設計された建物。

旧耐震ビルの中には耐震性を強めるため、耐震補強工事を実施したビルも多くあります。
補強工事により新耐震基準相当まで耐震性を確保することができますので、 耐震構造を確認する際は補強工事の点も知っておくと良いでしょう。

◆新耐震ビルとは?

1981年6月に旧耐震基準から新耐震基準へ移行。
この新耐震基準で建築確認が取れている建物。
震度5強程度の中地震、震度6~7程度の大地震にも耐えられるよう設計された建物。

新耐震基準ビルを探す場合のポイントとしては、竣工年月日です。
オフィスビルの建設は申請から完成まで数年かかる事もあり、 旧耐震から新耐震へ移行された1981年で検索すると新耐震か旧耐震かの判断が難しいケースがあります。 少し年数に余裕をもって竣工1983年程度で検索するとより新耐震基準のビルである可能性が高くなります。

◆耐震/制震/免震構造は何が違う?

耐震構造は主に、「耐震構造」「制震構造」「免震構造」の3種類があります。
制震構造や免震構造はビル側のBCP対策の一つとして注目されていますので、それぞれの違いをご紹介します。

◆耐震構造

地震の揺れに耐える構造
一般的に多い構造です。建築物が倒壊しないよう頑丈につくられ、地震に耐える構造になっています。 地震には耐える構造ですが、揺れには弱く、室内の家具や機器類が被害を受けることもあります。

◆制震構造

地震の揺れを吸収する構造
建物内部に制震ダンバーなどを設置し、地震などの揺れを吸収します。
高層ビルに採用されているケースが多くあります。

◆免震構造

地震の揺れを直接受けにくくする構造
地盤と建物の間に免震装置を設置することで、地震の揺れを吸収し、建物への揺れを直接感じにくくすることができる仕組みです。 そのため実際の震度より感じる揺れは抑えられ、室内にある家具や機器等の損傷も軽減できます。
免震構造も制震ビル同様に、大型ビルで採用されているケースが多くあります。

■制震ビルと免震ビルのビルは多いのか?

制震ビルと免震ビルの仕組みをご紹介しましたが、実際どれくらいあるのでしょうか。
弊社の調べでは、基準階300坪以上の大型ビルは東日本大震災後の2013年以降、
ほぼ100%の確率で制震・免震構造が採用されていることが分かりました。


基準階100坪・200坪クラスのビルはその年により導入率の増減が見られ、 特に基準階100坪クラスのビルの制震・免震ビルの棟数が年々減少している事が分かります。
その要因としては、建築費用の高騰と関係があるのではないかと考えております。
2011年東日本大震災による震災復興の建設需要、2013年東京オリンピック開催決定による競技場・ホテル・建物改修工事等の建設需要、 2014年消費税増税など、急激な建設需要の増加に対し、建設業界の人材不足もあり建築費用が高騰するなど、 少なからずビル建設にも影響を与えたと考えられます。
制震・免震構造でなくとも、新耐震基準の1.25倍、1.5倍に相当する構造で耐震性を確保しているビルも多くありますので、 その点も耐震確認をする際のポイントとなります。

■東京都の取組み


◆建築物の耐震化

東京都は建築物の耐震化強化に向け、様々な取組みを行っております。
その取組みの一つとして、大通りに面した建築物の耐震化があります。
大通りに面した建築物は、災害による建物崩壊で大通りを塞いでしまう危険性があるため、 災害時に発動する緊急車両の通行を妨げないよう、数年前より条例として耐震化を促進しています。 耐震診断や改修に関する費用を助成する制度も整っております。

◆「東京都耐震マーク」の交付

東京都では、東京都内にある耐震性の高い建築物を都民が安心して利用できるよう、 「東京都耐震マーク」を無料で交付し、地震に対する安全性を示す取組みをしています。

東京都耐震マークは「新耐震適合」「耐震診断済」「耐震改修済」の3種類、 必要書類を申請し東京都が申請内容を確認が取れたら、耐震マークを送付してくれます。 ただし、建築物の耐震性を保証するマークではないので、注意が必要です。

■まとめ

今回は耐震構造についてご紹介いたしました。
聞いたことはあるけど詳しくは知らないな~という方もいらっしゃったのではないでしょうか。 東日本大震災以降、ビル自体の安全性はもちろんですが、 災害が起きても入居企業が事業を継続できるビルという点も求められている気がします。
前途でも述べたように、旧耐震ビルでも耐震補強工事を行い、新耐震基準相当と認定されているビルや、 制震・免震構造でなくとも、新耐震基準の1.25倍、1.5倍相当の強度を確保する構造を採用しているビルもあります。 旧耐震・新耐震というだけで判断せず、少し深く構造について聞いてみるのも手段です。
是非ビル選定の際に役立ててみてください。

【参考資料】

・緊急輸送道路沿道建築物の耐震化

http://www.taishin.metro.tokyo.jp/tokyo/topic03.html

・東京都の耐震化取組み

http://www.taishin.metro.tokyo.jp/tokyo/index.html

・耐震マーク表示制度

http://www.taishin.metro.tokyo.jp/tokyo/topic09.html

・総務省:労働力調査

https://www.stat.go.jp/data/roudou/rireki/gaiyou.html#ft_tsuki

・国土交通省:建築労働需給調査結果

http://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/chojou/labor_result.htm