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コラム : 第18回

1年後に迫る民法改定。
施行までに知っておくべきこととは?


2017年5月に「民法の一部を改定する法律」が成立し、2020年4月1日からの施行が確定いたしました。民法の改定は何と120年ぶりなのだとか。

今回、民法が改定される事となった理由は主に2つと言われています。

≪一つ目≫
現在の民法は難しい言葉や表現が多く、国民に内容が浸透せず分かりにくいため、国民にとって分かりやすい民法にするため。

≪二つ目≫
国際取引が多くなった現代社会において、国際ルールと合わせる必要性が出てきているためその点も踏まえた民法改定を行う必要があるため。

時代の変化に合わせて民法のあり方や考え方を変えていく必要性が出てきているという事ですね。今回の民法改定では、オフィス契約にあたる実務的なフローや、オフィスを借りる側として留意しておくべき内容がいくつかあります。そこで今回は、オフィス契約に関わる民法改定の一部をご紹介いたします。

オフィスを借りる側として知っておくべきポイントは大きく分けて3つです。
■連帯保証契約(個人)に関する改定
■情報提供の義務化
■民法に敷金や原状回復についての確立したルールを明確化

■連帯保証契約(個人)に関する改定

極度額設定のない個人の連帯保証契約は無効となります

連帯保証人を立てる際は、連帯保証人が責任を持って支払いを負う極度額(=上限金額)
を「○○円」などと書面等により当事者間の合意で定める必要があります。
よって、改定後の契約書において極度額を定めていない保証契約は無効となります。

この改定のポイントとしては、個人の連帯保証人のリスクを軽減させることができる点です。これまでは極度額の設定が無いため、いきなり多額の債務請求が来ても支払いに応じなければならず、場合により連帯保証人の不動産や給与・貯金の差し押さえなど、財産的なリスクが非常に大きかったのが現状です。今後は保証金額を把握した上で連帯保証人になるかどうか判断をすることができるようになるでしょう。

■情報提供の義務化

①賃借人の財務や収支情報の提供が義務化

オフィスを借りたい賃借人が第三者の個人へ連帯保証を依頼する場合、賃借人の財務や収支状況の情報提供が義務化されます。
この財務・収支情報を元に連帯保証人を引き受けるか否かを判断する材料にもなり、安易に連帯保証人になることを防ぐことができます。


-情報提供内容-

 1、賃借人の財産や収支状況の情報
 2、賃貸借契約以外に負担している債務状況やその金額の情報

②賃借人の支払い状況等の情報請求が可能に

連帯保証人となった個人は、賃借人の支払い状況を賃貸人に情報提供を求めることができるようになります。


③賃貸人が行う情報提供の義務化

賃貸人は連帯保証人から賃借人の支払い状況や不履行の有無などに関する情報提供請求があった場合、遅滞なく情報を提供する義務が課せられます。


■民法に敷金や原状回復についての確立したルールを明文化

①敷金返還に関しての取り扱いが明文化されます

賃貸人は、賃貸借契約が終了し賃貸物(貸していたオフィス)が返還された際は、敷金(保証金)から賃料の滞納などの金額を差し引いた残額を速やかに賃借人に返還しなければならなりません。


賃料の滞納などが発生している場合、その返済は敷金から充てられるという旨が明確に明文化されます。よって、このように賃料の滞納がある場合賃借人が受け取る金額は、敷金から未払い賃料を差し引いた残額が返還されることとなります。

②賃借人の原状回復義務に関して明文化されます

東京では原状回復におけるトラブルを減らすため、東京都紛争防止条例(東京ルール)のガイドラインに基づいて退去時の修繕負担が明確化されています。
今回の改定で民法に原状回復義務が明文化されることにより、東京のみならず全国が共通の認識にすることができるようになります。

■まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の民法改正では、オフィス契約にあたる実務的なフローや、オフィスを借りる側として留意しておくべき内容がいくつかありました。特に連帯保証契約に関する改定に関して言えば、連帯保証人が立てにくくなるケースが想定できるため、保証会社を利用するケースが多くなりそうです。


オフィス仲介を行う弊社としては引き続き情報収集を行い、民法改定による混乱の無いよう、お客様への正確な情報提供に努めて参ります。

■参考資料

民法の一部を改正する法律(債権法改正)について